冬になると大流行するRSウイルス感染症は、呼吸器系の疾患です。生後1ヶ月の赤ちゃんでもかかってしまうことから、母乳の免疫は効かないのかと言われています。
本当に母乳の免疫が効かないのか?免疫をつける方法はあるのか?赤ちゃんをRSウイルスから守る方法を調べてみました。
RSウイルスに母乳の免疫が効かないってホント?
赤ちゃんが生まれたら生後6ヶ月をすぎる頃までは、お母さんからもらった免疫に守られているという話は本当です。
ただこのRSウイルスに関しては残念ながらその免疫が効かないのです。
何でもかんでも母体からの免疫が守ってくれるわけじゃないんですよね。
そしてお母さんからもらった免疫が切れ始める3ヶ月~6ヶ月の間に、このRSウイルスにかかると重篤化しやすいと言われています。
RSウイルスはそれだけ感染力の強いウイルスなのです。
RSウイルスの免疫を付ける方法はあるの?
RSウイルスの感染力は非常に強くて、主に飛沫感染と接触感染で拡散していきます。
RSウイルスの予防接種ワクチンは今のところ開発されていません。
ただし下記に該当する乳幼児の場合は、シナジスという予防薬を投与することが下気道疾患の発症を抑えることができます。
- 早産児
- 在胎期間28週以下(28週6日まで)で9月に12ヵ月齢以下
- 在胎期間29週~35週(35週6日まで)で9月に6ヵ月齢以下
- 過去6ヵ月以内に気管支肺異形成症の治療を受けた24ヵ月齢以下の赤ちゃん
- 24ヵ月齢以下の血行動態に異常のある先天性心疾患のある赤ちゃん
- 24ヵ月齢以下の免疫不全を伴う赤ちゃん
- 24ヵ月齢以下のダウン症候群の赤ちゃん
このシナジスは筋肉注射での投与を月に1回行います。最長で6ヶ月もの間、注射をし続けなければなりません。
費用はとても高額になります。
シナジスの注射は受ける赤ちゃんの体重によって投与量が決まります。
体重1kgあたり15mgの投与が必要です。
体重3kgの赤ちゃんなら45mg、体重8kgの赤ちゃんで120mgですね。
またシナジス注射は50mg単位で販売されていて、そのお値段が
50mg 約8万円
とびっくりするくらい高額なのです。
先程の3kgの赤ちゃんなら1回の注射が約8万円で、6回受けると約48万円になります。
お子さんがシナジス注射の対象になっていたら、保険が適用されるので無料になるケースもありますが、対象になっていなかったら保険適用外となりますので、全額負担となります。
RSウイルスはだいたい2歳になる頃までに100%の子どもたちがかかると言われています。
1度かかったらもうかからないというわけではないので、毎年のようにかかることを繰り返しながら徐々に免疫をつけていきます。
RSウイルスに赤ちゃんがかかった時の対処療法
RSウイルスにかかると4~5日の潜伏期間があってまず鼻水や咳の症状が出ます。
その咳が曲者で、肩方で息をして、咳をするたびに「ぜいぜい」言うようなら、すぐに病院で受診しましょう。
RSウイルスには抗生物質が効かないので、熱があるなら解熱剤を、咳が出るなら咳止めを処方されます。
高熱が出ると子どもの場合は特に脱水症状を起こしやすいので、水分補給が大切になってきます。
どうしても水分補給が難しい場合には、入院措置も考えなければなりません。
まとめ
RSウイルスは避けることがむずかしい感染症です。
母体からもらう免疫ではカバーしきれないほど強力な感染症なので、小さな子どもが羅患すると重篤化することがあります。
ある一定の条件をクリアしている子どもの場合は、予防接種のような扱いで注射を打つことができますが、極限られた子どもたちになります。
RSウイルスに何度もかかることによって徐々に免疫がついてくるので、かかったからといって悲観的にはならずに、しっかりと看病をしてあげましょう。